【松戸市】「庁舎整備に関する特別委員会」開催

 

「市役所機能再編整備基本構想」パブコメから2年ようやく公表へ

 5月12日、13:30より、庁舎に関する特別委員会において改選後初の実際の質疑応答などが行われました。今回は令和3年1月に行われた「市役所機能再編整備基本構想」(案)に対するパブコメの公表とそれをもとに修正した案を『改案』とし、それを最終的な基本構想として公開するための、議会への事前の報告です。

疑問・矛盾がますます深まる市役所移転計画

 そもそも2年前のパブコメがなぜ今頃公表されるのか、また移転はまだ決定ではないのに、「移転が得策」とする今回の基本構想を公表することの手続きとしての矛盾、さらには耐震の説明で、これまでは耐震性ありとしてきた議会棟や別館がここにきて耐震性がないとすることの説明の矛盾などがあります。

「市役所機能再編整備基本構想」大きく修正するもパブコメなし

 また今回の『改案』は大きな修正がされており(4章➡7章へ3章を加筆修正)、前回のものとは大きく異なります。にもかかわらず、この『改案』についてはパブコメを行わないという点が今回の質疑から明らかになりました。この点も問題です。さらに今回の市役所建て替えでは市役所職員の働き方とデジタル化が大きなポイントになっていますが、職員への事前の説明やデジタル化を進める事への問題点がほとんど議論されていないこと、にもかかわらずデジタル化ができるという前提で話を進めているということ。またデジタル化で窓口に来る市民が70%削減されるという案についてもその実現性は不明である点、また移転先が狭すぎる問題、さらにはアクセスの点で非常に問題がある点など、様々な問題が各委員から指摘されました。

「市役所移転」には特別議決(3分の2以上)が必要

 今回市が移転を狙っている新拠点ゾーンの土地はそのほとんどが国有地です。そして市役所を移転させようとしている土地は相模台の高台の一番右奥の法務局の跡地で、その取得についてはすでに昨年6月に市役所用地としての取得要望書を国に提出し、国からは松戸市に売却してもいいという回答はすでに来ており、その金額の見積もり合わせがされ(3/29)、国は約30億円で松戸市に売却する方針であること、そしてその売買契約締結の期限が本年6月30日であることが決まっています。

 市はこの国有地の取得のために議会に「財産取得議案」を提案し議決を得る必要があります。しかし市役所移転にはこれだけでは不十分で、さらに「市役所移転の条例案」を提案し議会の議決が必要です。しかもその市役所移転は通常の議案(過半数)よりも厳しい条件が課されており、3分の2以上の賛成が必要な『特別議決』とされています。

「移転条例案」はいつ提案するのか?

 そこで問題になるのは、いつ「移転条例案」を出すのかということです。特別委員会で市は、「市役所建設の費用や予算が決まらない段階では出せない。」と答弁しており「移転条例案」を出すのはまだ先との見解です。しかしそうするともし移転条例案が否決されたらどうするのか?という問題が出てきます。

 実際最近でも昨年12月に鎌倉市議会で2028年完成を目指した市役所移転条例が否決されています。滋賀県米原市でも開庁の4年前に条例否決など移転条例が否決されることは決して珍しいケースではないようです。

「移転を決定」してから「土地を取得」が適正な手続き

 前述のような事態にならないように、やはり移転についてきちんと議会での議決を経てから、土地取得の手続きに入ること、これが当たり前の適正な手続きではないでしょうか。移転ありきで進められているため、このような異常なやり方で進められてしまうのではないでしょうか。しかも移転か現地かについては議会でも最も大きな争点の一つであり、いまだに全体の合意は出来ていません。

 しかも今回の委員会では、それ以外にも改めて様々な問題が指摘されて、委員会は通常の倍の4時間近くも続きました。それでも疑問は払しょくされず、むしろ新たな課題が次々指摘され、ほんとうにこのまま進めて大丈夫なんだろうか?と思ったのは私だけでなく、傍聴していた市民の皆さんも同様だと思います。

「デジタル化」も万能ではない

 市は市役所のデジタル化によって来庁者を70%削減することや、市の職員の働き方もかえ、デジタル化によってリモートワークやサテライトオフィスなどでの働き方の導入も検討としていますが、それについは職員組合などへの説明はしていないとのことでした。リモートワークは通勤しなくていいというメリットはありますが、コミュニケーションが不足したり、新人は先輩から学ぶことが難しいなど問題も指摘されています。来庁者の70%削減も本当にそこまで減らせるのか?という疑問もあります。しかも市の持つ情報は機微な個人情報がほとんどでリモートで仕事をすることで情報漏洩のリスクなども非常に高くなり問題があると思います。

移転先の平地は約5200㎡と非常に狭い

 現在の市庁舎の敷地は約1万5千㎡ですが、移転先の法務局跡地の平地は約5200㎡と現庁舎の敷地の3分の1近い狭さであることが、ある保守系の委員の質問から明らかになりました。これまで市は移転先の敷地は8745㎡としてきたので、それよりも平らな部分はかなり狭いということがわかりました。こんなに狭いところに市役所を建てることが妥当なのでしょうか。

駐車場への入り口は一か所

 さらに駐車場も必要です。しかし計画では立体駐車場で出入りに時間もかかりますし、そもそも入り口が1か所というのも繁忙期には相当渋滞するのではないかと思われます。さらに問題は出入り口の狭さです。その通路は幅6メートルで、S字道路からの右折レーンは造らないそうです。

20メートルの高低差アクセスは悪い

 新拠点ゾーンは20メートルの高低差がある高台です。そこへのアクセスは現状ではS字道路、プラーレを通る、またはプラーレ脇の階段が主なものです。階段は5階までですから足の悪い方やベビーカー、車いすの方は使えません。市は現在のS字道路の下あたりにエレベーター、エスカレーターを設置するといっていますが、地震の時は使えなかったり、あんな急斜面にエスカレーターを設置するに相当な場所を使う気がしますが、どうなんでしょうか。

崖を削って道路拡幅 公園・緑地も大幅減少

さらにせっかく緑が生い茂っているのに、それを切り崩して道路を広げて、エレベーター、エスカレーターを設置するのは自然を壊すことであり、景観も壊され非常に残念です。実際中央公園、相模台公園とも公園部分は大幅に削減されます。

現庁舎の移転の際の手続きはどうだったのか

 ある保守系議員から、現在の庁舎も移転しているが、その時の移転条例のタイミングはどうだったのか?との質問がありました。市はその情報は今は持っていない、とのことでした。60年以上前の話ではあるのでそれもしょうがないかなとは思いますが、大事なことなので市としては知っていてもいいのではないかと思いました。

現庁舎は場所を決めてから土地購入

 委員会終了後、わが会派の宇津野市議が以前の「広報まつど」を調べたところ、昭和33年発行の広報まつどで、現庁舎の移転に際してはまず移転条例(市役所の位置を変える条例)が可決され、その後の議会で土地購入可決という流れになっていることがわかりました。これが適正な手続きであると思います。

市長は出席するも一切答弁せず

 市長は本委員会に最後まで出席していましたが最初の挨拶以外一言も発言しませんでした。しかしすべての議事が終了してから最後のあいさつとして、発言しました。その要旨は以下の通りです。

市長「新拠点ゾーンへの移転建て替えへご理解を」

「現庁舎は業務上相当無理がある。また7年以上現地で工事を行うことも無理がある。新拠点ゾーンへの移転建て替えへのご理解をお願いしたい。松戸市は都市再生緊急整備地域に政令指定された。松戸駅周辺の約50haの地域が該当する。松戸駅周辺まちづくり委員会で今後も話し合われるが、仮に市庁舎が移転した場合の跡地活用については売却ありきではない。活用の検討も議会・市民の意見を聞きながら進めていく。松戸駅周辺は道路の狭あい化なども課題であり、プラーレなどと協同で新拠点ゾーンから江戸川に続くシンボル軸を作りたい。活気のある場所にしていきたい。そのためには東西の連携も重要で、回遊性のあるまちづくりを行いたい。市役所の建て替えを市民の安全、利便性、松戸駅周辺の活性化につなげたい。」

課題山積の移転建て替えはこのまま進められない

 私たちは現地建て替えが十分可能であると主張してきました。それは今でも変わりません。むしろ今回の特別委員会で新拠点ゾーン移転建て替えの様々な課題が改めて明らかになったと思います。これだけの疑問や矛盾がありながら、このまま進めていくのでは、なんのための議会なのでしょうか。問題が明らかになっているのにそこには目を向けずに新拠点ゾーン移転建て替えが最適だと強引に推し進めるやり方は、議会も市民もそして適切な手続きも無視したやり方と言わざるを得ません。

 そして問題に蓋をしたまま移転建て替えを強行すれば必ずその矛盾や課題が噴き出し、大きな禍根を残すことになりかねません。

 疑問や矛盾だらけの新拠点ゾーンへの移転建て替えではなく現地建て替えで、現在の広い敷地を生かして現地建て替えを進めることを引き続き求めていきたいと思います。

 

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